アメリカに駐在することになったおくさまについていく駐夫だよ。
今の勤務先経由で健康保険、雇用保険、厚生年金なんかの支払いをしているけど、海外に帯同する場合はこうした社会保険をどうすればいいのかわからないよ。
アメリカ駐在することになったおくさまだよ。
渡航先への駐在期間によっても扱いが変わるみたいだね。基本的には、1年以内の駐在ならそのまま加入できるけど、2年以上だと解約になるよ。
健康保険
健康保険の扱い(扶養に入る場合)
会社員は●●健康保険組合という形で会社経由で健康保険に加入しており、病院などに行く際には、その保険証を提示することで3割負担の原則で医療費等を支払われています。
産休などで1年以上の休職をされる場合はまた事情が異なりますが、自己都合での休職をする場合は、1年未満であれば継続加入も可能、1年以上であれば脱退となります。
脱退の場合は退職と同様の手続きをとりますので、もし休職時の健康保険の扱いについて社内ポータル等でなどでまとめている項目がなければ、退職時の対応をご参考にしましょう。
健康保険を脱退すると、勤務先から「健康保険脱退証明書」や「社会保険喪失証明書」が発行されます。こちらは、駐在員の勤務先に提出して健康保険に加入する際に必要となりますので、大切に保管しておきましょう。
健康保険の扱い(扶養範囲外の場合)
副業や不動産投資等をしており、駐在員の扶養範囲外になるだけの所得を得る場合は、駐在員の扶養に入って保険に加入することができません。
もし日本国内での保険が必要と判断される場合は、国民健康保険への加入、または任意で既に加入している健康保険への加入(ただし、保険料割合は増額となります)をする必要があります。
日本の非居住者であれば、日本の健康保険への加入義務は免除されるので国民健康保険や任意保険への加入は不要ですが、日本への一時帰国をした際にもし病院に行く必要がある場合は保険適用外となってしまいますので、ご注意ください。
健康保険証の返却
自己都合で1年以上の休職をすることになった場合は、人事より健康保険が脱退扱いになる旨と合わせて、健康保険証の返却に関する手続きの案内があります。
健康保険を脱退して健康保険証を返却してしまうとその時点で保険適用外となってしまいます。出国直前まで何があるかわかりませんので、健康保険証の返却は健康保険の脱退日(=休職開始日)または出国当日に空港から会社又は会社が指定する郵送先(社労士)に郵送しましょう。
健康保険に加入している状態をぎりぎりまで保っておけるように休職開始日(=健康保険の脱退日=保険証の返却日)の調整ができるといいですね。
健康保険料の支払い
健康保険が脱退となるので、通常は給与から控除されて差し引かれている健康保険料の支払いも発生しません。
ただし、実際に休職を開始してから脱退することになりますので、もし休職開始前に有給等を取得されている期間は通常通り健康保険に加盟している状態ですので、健康保険料が発生します。
また、健康保険から脱退した後についても、健康保険料は翌月支払いとなりますので、1か月分の健康保険料は前月分として徴収されます。この際、有給期間であれば有給の給与所得から健康保険料が控除されますが、休職期間に入っていると控除すべき給与所得がないことになるので、会社が立て替えて支払ってくれる形となります。
建て替え払いなので、会社から請求書が発行されて当人が会社に対して健康保険料を支払うことになります。
国民健康保険の場合
国民健康保険に加入している方も同様に、住民票の異動手続きを行って非居住者となる場合は、国民健康保険を脱退することになります。この際、もし住民票の異動手続きを行わない場合は海外に住んでいたとしても保険料を払い続けることになるのでご注意ください。
健康保険の任意継続又は国民健康保険への加入
会社経由で加盟している健康保険から脱退しており、非居住者となるのであれば国民健康保険への加入義務がありません。もし一時帰国のご予定などがなく、日本で健康保険に加入していることのメリットを受けるような予定がないのであれば、加入する必要はないでしょう。
それでも、何があるかわからないから健康保険には加入しておきたいという方は、健康保険の任意継続(全額自己負担)をするか、国民健康保険に加入することが可能です。
・長期(2年以上)の海外赴任に帯同する場合は健康保険は脱退する
・副業・不動産投資で保険の扶養範囲外になる場合は保険に加入できない
・保険に加入したい場合は、健康保険の任意継続又は国民健康保険に加入する
・非居住者であれば、健康保険の任意継続又は国民健康保険に加入する義務はない
厚生年金
給与所得から控除されて差し引かれている保険料の中で、最も大きい割合を占めているのがこの厚生年金です。海外居住に際して住民票を抜いて非居住者となる方は、厚生年金からも一時的に脱退することになります。
こちらは書類の郵送等の事務手続きは不要ですが、健康保険料と同様に脱退当月分は勤務先が立て替え払いをするので、請求書が発行されて勤務先に支払う形になるのが一般的かと思います。
また、これまで払い続けてきた年金の支払いを一時的にでも止めることになるので、将来受け取ることができるであろう受給年金がその分減少することになります(受け取ることができなくなるわけではありません)。
もし保険料を納め続けたい方は国民年金への任意加入も可能ではありますが、健康保険と同様にあくまでも任意加入という位置づけであり、非居住者は国民年金への加入義務はありません。
もし加入をご検討される方は日本年金機構のサイトをご参照ください。
雇用保険
こちらも1年以上の自己都合休職や退職をする場合は脱退扱いとなります。
健康保険料と同じく通常であれば給与所得から控除されて差し引かれているかと思いますが、休職または退職日以降に自動的に脱退扱いとなるので、脱退日以降の雇用保険料はかかりません。
健康保険証のように物理的に所有しているものもありませんので、会社や会社が指定する社労士事務所などへの書類の郵送等も対応不要です。
なお、健康保険とは異なり前月分の保険料を控除しているわけではないので、脱退日の翌日以降に保険料を請求されることはありません。
まとめ
1年以上の休職や退職の場合は、健康保険、雇用保険、厚生年金はすべて脱退扱いとなります。
脱退した後に健康保険の任意継続や、国民健康保険への加入、国民年金への任意加入は可能ですが、長期の一時帰国などの予定がなければ、脱退したままの状態にしておくと良いと思います。
健康保険に入ってないと一時帰国で病院に行ったときに保険が適用されないから大変なことになっちゃうね。
日本で不動産投資や持家を貸したりしていると扶養に入れないところに注意しないとだね。